2023年9月23日（土）、北海道大学大学院教授の戸田聡氏をお迎えして公開講演会「キリスト教修道制の成立をめぐって」を開催しました。

講演では、19世紀のプロテスタントの教会史家であるヴァインガルテン（Weingarten）の行った課題設定を踏まえた上で、修道制の成立時期、修道制の宗教的性格、修道制の成立したエジプトにおけるキリスト教の普及状況という3つの事柄に焦点を当ててお話しいただきました。
３世紀の後半のエジプトにおける隠遁者たちの登場を、殉教の死を遂げることで天国が約束されていたそれまでの迫害の時代から、禁欲を実践することで天国への到達を図ろうとする新たな時代への移行という視点から読み解こうとする試みは非常に刺激的であり、続くフロアとの質疑応答でも、3世紀における修道制の成立を巡る周辺状況から、ニュッサのグレゴリオスをはじめとする東方教父との関わり、自己の魂の救済ではなく隣人に奉仕するキリスト者としての生のあり方まで話題は多岐にわたり、活発な質疑応答が行われました。

講演会に約50名の方にご参加いただくとともに、ご参加くださった方々へのアンケートでは、「普段聞くことの出来ない貴重なお話を聞くことができた」や「カトリックの歴史の深さを感じることができた」など、今回の講演の内容を有意義に思う多数のご意見や、ありがたいご感想が多く寄せられました。
来場いただいた皆さまと共に、今回の講演をお引き受け頂いた戸田聡氏に深くお礼申し上げます。